多極化した世界で陣営拡大競い合う-G7広島サミット、成果出せるか
Source: ブルームバーグ | Original Published At: 2023-05-17 11:12:10 UTC
Key Points
- 多極化する国際秩序における日米欧と中ロの影響力争い
- G7とEUの中進国へのインフラ投資・経済協力戦略
- BRICS拡大と通貨協力の可能性
- グローバルサウスへの関与強化がG7の重要課題に
- 中国・ロシアの「反欧米感情」を活用した外交攻勢
ロシアがウクライナで始めた戦争に対する異なる立場が示すように、多極化する世界で影響力を強め、戦略的な第3国を自陣営に取り込もうとするせめぎ合いが日米欧と中国・ロシア間で激しさを増している。
日本で19日に開幕する主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)をはじめとして今後数カ月間に行われる一連の首脳会議が告げようとしているのは、競合する複数の陣営から成る多極化した世界の到来だ。
世界的な「支援合戦」で中ロに対抗しようと、G7と欧州連合(EU)の首脳は一部の国々に魅力的な計画を打ち出す準備を進めている。こうした協議に詳しい関係者の話やブルームバーグ・ニュースが確認した文書で分かった。
G7側の戦略は、ブラジルやベトナム、南アフリカ、カザフスタンなどいわゆる中進国との連携強化を目指すもので、ハイレベルの関与や既存のインフラプロジェクト間の協調改善、重要なパートナーと位置付けるそれぞれの相手国に特化した行動計画などを柱とする。
日米欧がこうした戦略を採るのは、中国のきめ細かな外交やインフラ投資、ロシアによる武器や原子力技術、肥料の供給が、米欧のアピールよりも勝っていることを認めたに等しいと言える。
G7の取り組みの中心にあるのは、これまで重視してきた価値観主導のアプローチからやや離れ、貿易や安全保障といった分野でのより具体的な提案に基づく手法への転換だ。
ニコルズ米国務次官補(西半球担当)は「西半球や世界中の国々に選択肢を与えることが重要だ」と指摘。
米政府は各国に「経済的な成功のためには何ができるかという明確な視点とビジョン」を提示する必要があり、同時に「中国のような国がする約束の幾つかは実現されていない」と明確に伝えなければならないと述べた。
中ロの攻勢
バイデン米大統領が来日し広島でG7首脳と会談するのに合わせるかのように、中国の習近平国家主席は陝西省西安で18日から2日間にわたって中国・中央アジアサミットを開催する。
ロシアのプーチン大統領は7月、出身地のサンクトペテルブルクでアフリカ諸国の首脳を迎える予定だ。アフリカを直撃しているエネルギー価格の高騰や穀物不足は、ロシアのウクライナ侵攻ではなく、米欧の制裁が原因だと根拠のない主張を展開するとみられる。
8月にはブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカから成る主要新興5カ国「BRICS」が南アのヨハネスブルクで首脳会議を開く。
BRICSには19カ国が将来の加盟を希望していることもあり、枠組み拡大や共通通貨導入の可能性などが首脳会議の議題として取り上げられる予定。
この2つのテーマは、BRICS拡大を最初に提唱し、加盟国でドルに代わる通貨での貿易を支持している中国にとって好都合だ。
中規模国2カ国の政府当局者は、世界は近年、劇的に変化したと指摘。欧米の大国はかつて途上国に政治的にも経済的にも圧力をかけることができたが、今ではそうした影響力を失ったと語った。
「われわれが欧米の大国を必要としている以上に、欧米の大国はわれわれを必要としている」と率直に話す当局者もいた。
米国のブリゲティ駐南ア大使は11日、南アがロシア向けに秘密裏に武器などを提供したとして非難し、南ア・ランドが最安値を更新したが、米国と南アはすぐに関係修復に動いた。南アはG7では常連の招待国だが、今年は議長国の日本がアフリカ連合(AU)を招待した。
アフリカ
南アのパンドール国際関係・協力相は先週、「バイデン大統領の就任直後、その価値観に基づくアプローチについて語ったとき、大きな関心を集めていたと思う」としながらも、「だが、紛争が主役となってしまった現状では、説得力を持たせることが一段と難しくなったと考えられる」と述べた。
G7はこれまでにも、中国の影響力に反撃し、そのイニシアティブと競い合おうとしてきたが、成果はまちまちだ。
一方で、ロシアの戦争がこの取り組みへの目的意識を新たにさせたと、関係者は述べた。ロシアはアフリカや中南米など「グローバルサウス」の国々が抱く反欧米感情をてこに、偽情報や影響力による操作活動を一段と強めている。
日本政府のウェブサイトに記載されているG7広島サミットでの核となる「2つの視点」が、法の支配に基づく国際秩序の堅持とグローバルサウスへの関与強化となっているのは、そのためだ。
ブリンケン米国務長官は4月18日、広島サミットの議長を務める岸田文雄首相との会談後の共同記者会見で、「3分の2程度の時間をグローバルサウスに関係する問題に費やしたと思う」と語った。
岸田首相も4月下旬から5月上旬にかけアフリカ4カ国を歴訪したばかりだ。