中国経済の失速は好機-インドや南ア、サプライチェーン再編に期待
Source: ブルームバーグ | Original Published At: 2023-08-23 12:31:12 UTC
Key Points
- 中国経済の低迷が他のBRICS諸国への投資機会拡大につながる可能性
- インドと南アフリカが特に注目され、サプライチェーン再編の期待
- 中国のGDPはBRICS他国合計の倍以上で依然として経済的優位性維持
- 中国経済の消費重視への転換と生産コスト上昇が他国への影響与える可能性
南アフリカ共和国で開催された新興5カ国(BRICS)首脳会議のビジネス会合に参加した企業幹部らは、中国経済の低迷で他の新興国への投資が増える可能性があると考えている。
不動産不況や地方債務増大、若者の失業率上昇が重しとなっている中国の景気悪化が金融市場を揺るがす中で、投資家らは中国の需要減退が商品市場にどのような影響を与えるのか見極めようとしている。
中国の習近平国家主席(南アのプレトリア、8月22日) Source: Bloomberg
ヨハネスブルクでのビジネス会合に参加した経済界の首脳は、中国の景気減速が劇的な悪影響の連鎖をもたらすとはみておらず、むしろ他のBRICSメンバーにとってはプラスに働くかもしれないとの見方を示した。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらも同じような認識で、中国企業の業績と株安が他国の同業企業株に及ぼす影響は過去3年間で「急激」に低下していると指摘している。
BRICSビジネス協議会の会長を務めるインドのタイヤメーカー、アポロ・タイヤのオンカー・カンワル会長は、「他の国、特にインドにとっては大きなチャンスだ」と指摘し、「インドは改革を進めており、さらなる改革が期待されている。全体的にインドで事業をしたいという人々を歓迎する準備が整っている」と語った。
BRICSは世界2位の経済大国、中国に加え、南アとインド、ロシア、ブラジルから成るが、中国はBRICSにおいて圧倒的な存在感を誇っている。
中国の国内総生産(GDP)は他の4カ国を合わせた額の倍以上で、最近の景気悪化にかかわらず、国際通貨基金(IMF)は今年の中国成長率を5.2%と予想。これはインドの5.9%には及ばないものの、ブラジル、ロシア、南アを大きく上回る。
ビジネスフォーラムには中国からは習近平国家主席に代わり王文涛商務相が出席。「中国経済には強い回復力と途方もない潜在力、大きな活力がある」とする習主席のスピーチを代読した。「中国の長期的な成長を支えるファンダメンタルズは変わらない。中国経済という巨大な船は、波をかき分け航海を続ける」としている。
ただ、一部のアナリストは、習主席は自国経済を軌道修正する良い選択肢を持っておらず、数十年にわたる驚異的な成長が終わった中国経済は日本型の停滞に向かう可能性があると警告している。対中輸出に依存している他の国々にとっては、悪い知らせとなるだろう。
中国工商銀行が20%出資するアフリカ最大の金融機関、スタンダード・バンク・グループのシム・ツシァバラ最高経営責任者(CEO)は、中国経済の変化が世界のサプライチェーンを再編させると予想。
「中国経済は明らかにシフトしており、投資よりも消費に重点を置くようになっている」とし、中国での生産が割高になりつつあり「これはアフリカに工業化とバリューチェーンの終着点をもたらす好機だ」と話した。
不動産不況やデフレ危機の中でも、中国政府は大型の景気刺激策を手控えている Source: Bloomberg